不動産投資を行う現役経営者が銀行映画を観て感じた事とは

アフマンから学ぶ投資手法

 

ハリウッドがひれ伏した銀行マン

 

20世紀後半、ハリウッドの映画に投資をしまくった銀行マンがいます。
その名を「フランズ・アフマン」といい、投資した映画は900本以上に及ぶと言われており、彼がいなければ数多くの傑作も生まれませんでした。
ハリウッド界では知らぬ人はいない程のアフマンですが、一体どのようにして投資の可否や判断を行っていたのでしょうか。
アフマンの実の娘であるローゼマイン・アフマン監督で同人を題材にした映画『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』を観ましたので、投資手法や采配を経営者目線でご紹介していきたいと思います。

 

 

フランズ・アフマンとは

まずは今回のテーマの主人公である「アフマン」について触れていきましょう。
フランズ・アフマン(Frans J. Afman:1933年12月11日-2011年5月4日)は、オランダのスラヴェンバーグ銀行に勤めるバンカー(銀行マン)で、法人への融資や、個人向け投資を担当していました。

 

ある日、同銀行に融資を依頼しに訪れたディノ・デ・ラウレンティスとの出会いで、アフマンの人生は大きく変わります。
ディノは後に“コンドル(1975年)”“キングコング(1976年)”等の傑作を生みだしたイタリア屈指の大物プロデューサーですが、この時はまだまだ無名です。
ヒットするか否かが全く読めない「映画」に対する融資、それも独立映画(インディーズ・ムービー)に融資を行うなど、当時の銀行では考えられないことでした。
そこで、アフマンはディノに投資(融資)をするため、ある方法を考え出します。

 

 

プリセールスによる投資

日本では余り聞かない「プリセールス」ですが、別の言葉では「コンサルタント」と置き換えることもできます。
両者ともに“対価を貰ってアドバイスや業務を行う”という点は共通しておりますが、役務を提供するタイミングが両者で異なります。

 

 

  コンサルタント プリセールス
主な業務 ・企画及び製作に関するアドバイス ・企画及び製作
依頼のタイミング 製作開始前
依頼時に要するコスト 有償 無償

 

まずはじめに、アフマンとディノの二人はある程度の企画が固まった段階で各配給会社(興行会社)に「プリセールス」の話を持ちかけました。
つまり、映画がまだ出来ていない段階で興行権の売買契約を締結してしまい、映画が完成した時点で対価を支払う流れを採ったのです。
配給会社側から見れば事前に興行権を安く得ることができた上、実際に完成するまでは代金を支払わなくて良いわけですから、悪い話ではありません。

 

こうしてディノは、
①売買契約の代金を担保に更に銀行(アフマン)からお金を借りる
②映画が完成した段階で当該融資金の返済を行う
という手法を確立させ、数々のヒット作を世に送り出したのでした。

 

 

独自の判断基準を持っていた

アフマンの実物

柔軟な発想で多くの映画製作会社・プロデューサーに投資したことで映画界では知られた存在となったアフマンですが、投資を決める基準はあくまでも「人」「決算書」だったそうです。

 

賄賂がまだまだ横行していた時代ではありましたが、アフマンは一切のあくまで個人的なお金は受け取らず、また、このような提案をした人をとことん嫌ったようです。

 

「仕事をする人間を選ぶ」
「収益性を重視する」

 

という彼の姿勢は、投資に於いても通ずるものがあると考えます。

 

 

銀行の不祥事が続く今、学ぶ点も多い

 

海外銀行の看板

 

日本でも銀行を題材にしたドラマや映画は数多く存在しています。
しかし映画のようなドラマティックな展開が起こり得るはずもなく、多くの銀行の投資・融資業務は“石橋を叩いて渡るような投資”を行い“経営が傾くと貸し剥がし”を繰り返しているのが現実です。
そんな中、2018年にスルガ銀行の不動産投資向けのローン(アパートローン)の不正融資問題が発覚しました。

 

不動産投資とは、不動産を購入するための資金を銀行から借り、家賃収入でローンを返済していく投資手法です。
数千万円~数億円ものお金を貸すわけですから銀行側は当然慎重となり、年収や勤務先の関係で20代で審査に通る人はほぼいません。
そこで、スルガ銀行は自行で設定する融資審査に通るようにエビデンス資料の改ざんや偽造を行い、融資を行ったのです。
不動産投資会社とも繋がっていたこと、担当者だけではなく組織全体が不正に加担していたことは世間に衝撃を与えました

 

万が一、読者の皆様の中に当時無理なローンを組まされ投資用物件を購入させられてしまったという方がいらっしゃれば、物件の売却を検討してみるのも良いでしょう。
2023年現在は2018年前後に比べ不動産価格が上昇しています、場合によっては負債を残さず売却できるだけでなく差益を生む可能性もあります。
大凡の売却額を把握したいならオンライン不動産査定を活用してみるのも良いでしょう。

 

 

不正融資はいけませんが…

もちろん、融資を不正に行うなど言語道断です。
しかしながら、前述した通り不動産投資を行うために受ける「アパートローン融資審査」は非常に審査が厳しく、多くの人は審査に落ちてしまいます。
「融資・投資・出資を受けられる=成功のチャンス」ですので、ある程度の柔軟性を持って審査を行ってもらえるのは、経営者から見れば“ありがたし”の一言です。
書類の偽造等は絶対にいけませんが、アフマンのような「発想」で多くの経営者と銀行がWINWINの関係を築くのが最も望ましい形であると言えるのではないでしょうか。